「誰がって、みぃちゃんしか居ねぇじゃん」


好きなのはお前だけ。

正直、自分でも驚くぐらい好きになってたんだからしょうがねぇだろ。

ほんと自分に笑える。


「え、それって友達としてでしょ?」

「は?」


何言ってんの、こいつ。

と思う俺に対し、混乱する美咲の視線とかち合う。

その美咲の瞳が更に混乱するように揺れた。


「…じゃ、ないの?」

「何で俺が女のツレを長居させなきゃいけねぇんだよ。そこまでするほどいい男じゃねぇよ」

「……」


むしろ長居させるほどの女は居ない。

俺の領域すら入ってほしくもなければ、俺を干渉されるのも嫌い。

でも、美咲だけは違った。

俺の領域にあまり入ってこないこの距離感。

その存在が楽だった。

だから逆にもっと俺の領域に入って来いよ。と、そう思える存在だった。


「…恋愛として好き。俺は美咲が好き」

「……」

「だからずっと一緒に居たいって思ってる」


塞ぎ込んでた言葉が零れ落ちる。

美咲を見つめると、未だに納得出来ない表情で俺から視線をスッと避けた。


「…行けって言うの?」

「うん?」

「じゃあ、どうして私に行けって言うの?」

「だってそれはみぃちゃんの夢だろ?」

「そうだけど…でもっ、」

「でも何?」

「…私も翔が好きなの。いつからか分かんないけど気づいたら好きになってた」

「あー…じゃあ両想いだったって事?」


頬を緩ませる俺は俯く美咲を覗き込むように見つめる。

だけど美咲は笑みを見せる事はなかった。


「私は…私は翔に好きなんて言ってほしくなかった」

「……」


その言われた言葉で俺は一旦、空を見上げ深く深呼吸する。

じゃあ、どうしたらいいんだよ。と思う俺の言葉が吐き出せずにいる。


「もちろんママの事もあったけど、翔に優しくされたりすると自分のコントロールが上手くできなくて…」

「……」


初めて美咲から開いてくれた言葉が何故か俺の胸を締め付けた。

そっか。

うん、そっか。

ごめん、やっぱ言うんじゃなかった。


「…行こうって決めてても翔が頭に浮かんで行き場を塞いで…」

「そっか。…ごめん、俺の所為で」


不意に出たため息。

頭を抱えて蹲る美咲に、俺も一旦俯いて、もう一度息を吐き出す。


美咲の本心を聞く事が出来て嬉しいはずなのに、なんでこうも心ん中がムシャクシャするのだろうか。

考えても今はまだ答えは出ず、俺に対する苛立ちだった。