「…翔はさ、何で私に構って優しくすんの?」
「何でって言われても前に言わなかった?傍に居たいって」
もう短くなって吸えないタバコをすり潰し、俺は美咲に視線を向ける。
「私が可哀想だから?」
「違げぇよ」
可哀想だとか、同情とか一切なくて、ただ美咲が好きだから。
だけどこの言葉は言えない。
言ったらまた美咲を狂わすだろう。
「正直、そうされると困る。…困るって言うか辛い」
そう吐き出された美咲の言葉に一瞬、俺は眉を顰めた。
は?辛いってなんだよ。
つか、その言葉は俺のもの。
″行っておいで″
そう口から吐き出した言葉がどれだけ辛い言葉だったか、お前には分かんねぇだろうけど。
でも、ここまで本気で美咲にのめり込んでしまったのは俺だ。
だからこそ、俺から吐き出した言葉は美咲にとって必要な言葉だろう。
「え、なに?どう言う事?みぃちゃんの近くに居る事が?」
さっきまでの思考を払い消し、俺は平然を保って美咲を見ると、
「うん…」
小さく呟いた美咲は俯いた。
深く、深く俯いて、俺を遮断する。
そして数秒もしないうちに美咲は顔をあげ、海に視線を送った。
「…つか、もしかして俺の所為?」
俺がお前を縛り付けて、理由もなく一緒にいたいだとか近くにいたいと言った所為かなのだろうか。
正直、俺の気持ちを明確するまでにカナリの時間がかかった。
美咲と居る事で落ち着ける空間。
何故か離したくなくなる距離。
美咲に対する好きと言う気持ちを俺自身、俺の気持ちを明確するのに相当な時間がかかった。
美咲と本気で居たい。
美咲が好きと言う気持ち。
ここまでのめり込むことなんか絶対にないだろうと思っていたこと。
気付けば俺は自分の為だけに美咲を置いていたのかも知れない。



