もっと早くこの言葉を口にしてれば良かったんだろうけど。
もっと早く俺が美咲に対して行動してれば良かったんだろうけど。
俺があまりにも美咲に縋りつきすぎて、その道を塞ぎ込んでしまったのであれば、俺がその道を開放したい。
「…分かんない」
暫くして聞こえた美咲の声。
小さくて震えるような声。
そんな美咲に視線を向けると、美咲は通帳を両手で握りしめたまま俯いていた。
「何が?」
「だから、なんでここまでされる必要があるのか分かんない。…それに、…それに、」
「それに何?」
「自分の気持ちが分かんない。全てに分かんない」
美咲から聞いた初めての気持ち。
そんなにここまで迷うくらい悩むことは一体なんなんだろうか。
雰囲気から少しは感じ取っていたが、こんなにも迷ってる美咲が俺には正直分からない。
やっぱり、俺か?
「みぃちゃんは何に迷ってんの?…お金?それともお母さん?それとも葵ちゃん?諒也の事?」
「……」
俺の中で引っかかる言葉を出してみたけど、美咲は答える事もなく顔を顰め少しだけ首を捻る。
「お金は…気にすんなって。俺が助けてやる」
「……」
「お母さんの事も心配すんなって。俺がみぃちゃんの代わりに見に行くから」
「……」
「んっと後は葵ちゃんか。まぁ、葵ちゃんは諒也が居るから心配いらねぇだろ?諒也は別に心配する必要もねぇし」
「……」
「で、他は何かあんの?」
お前はまだ何に迷ってる?
ここの海に来て、美咲が初めて俺に自分の夢を語ってくれた時、嬉しそうに楽しそうに話してたのを思い出す。
なのに何故、今になってそんなに悩んでんだよ。



