美咲の居場所を聞こうと掛けたものの、美咲は電話に出る事もない。

昼過ぎに帰ると伝えたものの美咲は帰って来ず、そして何度か掛けた電話すらも一向に出る事はなく、俺は服に着替えて車に乗り込んだ。


いつかは言おうとずっと思ってた。

美咲が留学の事に対して悩んでいるのであれば、それは俺が美咲をあやふやにしてて、何も言えなかったから。

傍に居たいって事だけで、結局は背中すら押してやれずに今まできてて。

だけど美咲に話すのは夜の仕事がない今日しかないと思った。


出て向かった先は銀行で、俺は迷う事無く美咲の通帳に500万を入れる。

決して助けたいからとかじゃなく、ただ美咲には笑顔で行ってきてほしい。


ただ、そう思うだけで。


とりあえず車を走らせ、思い当たる場所はただ一つ。

ここだろうと言う確信などないけれど、美咲が居るような予感がした。


…美術館。


もう少しで着くって時に目で捉えてしまった美咲の姿。

やっぱここに居た。と思うと安堵のため息が零れる。


と同時に俺の眉間に皺が寄ったのは言うまででもない。

スタスタ歩く美咲の隣に2人の男。

え?と思いながらその光景を見つめ俺は路肩に車を停めた。


窓を開けてそこから顔を出し、美咲に向かって声を掛けようとした瞬間、


「つーか、そう言うの面倒なんだよ。…ダルイ」


男に向かって不機嫌そうに声を出す美咲に何故か笑みが漏れる。

だからなのか一瞬にして俺の口が閉じる。


「あ?折角誘ってやってんのに」

「別に頼んでないから」

「何だコイツ。可愛くねぇ…」


その言葉に俺は面白おかしく笑う。

俺も初めて会った時はそう思ってたっけ。

だけど、逆にそこに惹かれたのは俺だったかも知れない。

周りの女とは全く違う美咲に縋りついてしまったのは、俺か。