「よぉ。元気かよ、お前」


現場に着き振り向く先に蓮斗が買ってきたばかりであろう缶コーヒーのプルタブを開け口に含んだ。


「あれ?お前今日こっち?」

「今日ココ午前中で終了だろ?」

「あぁ」

「だから応援にきた」

「そりゃどーも」

「あれからどうよ?」


蓮斗が言うあれからと言うのは、きっとあの日の事だろう。

あの日から一度も蓮斗と会っていなく、ほとんど会話すらしていなかった。


「うん?」

「うん?…って、んだよ」


クスクス笑う蓮人は缶コーヒーとは別の手で煙草を取り出し咥える。

そして煙草に火を点けて最初の煙を吐き出した。


「何に対してのだよ?」

「何に対してって、美咲ちゃんだっけ?大丈夫?」

「まーた流星から聞いたのかよ」

「残念。お喋りユウトじゃねぇよ。諒也だよ」

「あぁ、諒也か」

「だからと言って何も聞いてねぇけど。名前だけな。俺、人のくだらない恋愛に興味ねぇから」


フッと笑う蓮斗に俺まで苦笑いになる。

くだらねぇってか、


「ま、大丈夫と言えば大丈夫かな。分かんねぇけど」

「なんだそれ。あ、んで昨日、諒也の所に行ったらアイツ女と話してたわ」

「女?」

「そう。なんかすげぇベッタリくっついてたわ」

「え、なに?見舞い?」

「違う。入院してる奴っぽい」

「あぁ、なるほど。あいつに寄って来る女多いもんな」

「それお前が言うか?どう考えてもお前だろうが。諒也は輩だろうが」


声に出して笑う俺に蓮斗も笑みを浮かべ、飲み切った缶の中にタバコの灰を落としていく。


「あながち間違っていねぇけど、お前もだろ」

「俺、輩とは卒業した」

「はぁ?そんなガッツリ刺青いれてる頭のヤンキーが輩と卒業したってか?十分お前も輩だろうが」

「言うね、お前。つか輩は俺じゃなく、ほらこっちに向かって来てるじゃねぇかよ」


クスクス笑って前方を見る蓮斗に俺も視線を向けた瞬間、思わず深いため息が出た。