昨日の事がまだ頭から消えないまま夜の仕事に向かい、流星を目の前に思わず顔を顰めた。


「こわっ、俺の顔みて怒んなよ」


流星はクスクス笑って、通りすがりに俺の肩を叩いた。


「お前、俺になんか言うことねぇの?」


振り返った俺に流星も同じく振り返り、一瞬首を傾げる。


「あー、カルシウムいっぱい食わせてもらったか?」

「は?」

「だってお前ずーっと怒ってんじゃん。カルシウム足りてねぇからイライラすんだよ」

「はぁ?そっちじゃねぇよ!お前、沙世さんになんつった?」

「あー、そっち?」

「そっちって、それしかねぇだろうが」

「お前の病んだ心を癒やしてもらおうと思って。俺もさぁ、一緒にご飯どう?なんて誘われたけど申し訳なく断ったんだよ」

「お前が居たら即、帰るわ」


そう言いながら冷蔵庫から水を取り出し、俺はソファーに腰を下ろした。


「しっかし、あの人マジ綺麗だな」

「は?」

「癒されそう」

「どこがだよ。本人に言えば?調子乗って何か買ってくれんだろ」


フッと笑いながら俺はタバコを咥える。


「あー。俺、女に貢がせるの好きじゃねぇからな。物より愛が欲しいってか?」

「気持ち悪い事いうなよ」

「いや、俺じゃねぇよ。お前の心理してやった」

「はぁ?」

「物はいらねぇから、愛がほしいって――…」


ギャハハ。と流星の声が避けられたかと思うと、


「なんすか、愛がほしいとかって」


アキがケラケラ笑いながら入ってきた。