「なんかガッカリ。翔くんがそんな男だったなんて」

「…はい?」

「物凄く強引な男も嫌いだけど、そんな奥手の男も嫌いだな、私は」

「誰も沙世さんのタイプなんか聞いてねぇよ」

「あら、そう」

「沙世さんには分かんねぇよ」

「うん、分かんない。だって私、翔くんじゃないし」

「……」

「でも一つ言えるのは、後悔しないでねって事」


後悔、ね。

どっちみち、どっちかが後悔する選択しかねぇじゃん。

美咲を留学させて俺の前から居なくなる事。

行かせなきゃよかったって、俺がきっと後悔する。


だけど俺の傍に居てほしい。って言葉で美咲の夢を壊してしまうと、それはそれで後悔する。

そして美咲も後悔する。

だから、どっちみち後悔すんだよ。

むしろ俺が後悔する方。

美咲が後悔するより、俺が後悔するほうがよっぽどマシ。


むしろアイツは俺の事、なんとも想ってねぇしな。

美咲と同じ学年だと、違ってたのかも知れない…


「…若いって、いいよな」


思わずポツリと呟いた言葉に、沙世さんは困ったようにクスクス笑う。


「なにそれ。どう言う事?翔くんも若いよ、まだまだ。絶頂期じゃん」

「そうでもねぇけどな」

「好きな子が高校生だからって、躊躇してる?」

「…っ、」


思わず反射的に顔を上げてしまった俺に沙世さんは嬉しそうにクスクス笑い始めた。


「図星、だね」

「つかさ、俺の何処まで聞いた?人のプライバシーをネタにすんのやめろよ」


…まじでイラつく。


「別に聞いてはないけど、話の流れで…」

「はぁ?なんの話の流れだよ、…ったく」


軽く舌打ちをする俺に沙世さんは、


「別に年齢なんて関係ないじゃーん」


開き直って視線を上げた俺の瞳とカチ合った。

そして沙世さんは柔らかく頬を緩めた。