「ねぇ、ほら見て。可愛いでしょ?」


画面に映し出された赤ちゃんの写真。

寝てる写真。起きてる写真。

沙世さんのスマホには溢れるほどの写真がある。


「ちっちぇー…そりゃアイツもメロメロになるよな」

「なるわよ。翔くんだって百合香にメロメロに育てられたんだから」

「だーから、そう言うのいいって、」

「あれ?照れてる?」

「照れねぇよ」

「で?ヤケ酒するほど弱ってるのはどうして?お酒控えないといけないのにそんな事してたらダメじゃない」


やけに大きなため息を吐き捨てた沙世さんは、お茶を口に含んだ後、俺を困ったように見つめた。


「沙世さんに話す事でもねぇし、話した所でな、」

「は?何それ…地味にムカつくんだけど」


思わずフッと鼻で笑った俺に、沙世さんの眉間に皺が寄る。


「普通、母親に話さねぇよ」

「母親じゃないし。今は友達として話してるの」

「勝手な奴だな」

「えぇ、そうやって生きてきたんで」

「あ、そう。つか、言う言わねぇの問題じゃなくて何もねぇし」


沙世さんから視線を外し、俺はご飯を口に運んでいく。

そしてまた沙世さんのため息が落ちた。


「ふーん…。好きな子が振り向いてくれないからってヤケ酒してたのに?特別なんだね、その子の事」

「……」

「誰にも自分家を教えないのによっぽどなんだね、その子は」

「……」


沙世さんが口を開いていく言葉に俺の眉が寄っていくのが自分にでも分かる。

俺が教えていない事を沙世さんは面白そうに口をひらいていく。

…あんの、クソやろー

流星の奴、俺の事をペラペラと話しやがって。

そう思ってるのと同時にアイツの笑って話してる顔が目に浮かんだ。