沙世さんの店に着いた頃にはもう真っ暗で、19時半を過ぎていた。

今から活気づく街並みに人が溢れ出していく。

そんな中、俺は裏口から店の中へと入った。


「わ、マジなんもねぇじゃん」


入った瞬間、ガラス張りの棚にあった酒が一切なく、殆どが片付けられていた。


「あ、翔くん待ってたよ。今ね、ご飯作ってたの。冷蔵庫の中、片付けないといけないでしょ?」

「え?処分する為に俺呼んだのかよ」

「違うわよー、流星くんがなんか食わせてやってって言うからよ」

「大きなお世話」

「何言ってるのよ。あなたの事を心配して言ってくれてるのに」

「どうだかね、」

「心配してくれてる人が居るだけでもありがたい事なのよ」

「そーですね…」

「思ってない口調だわね、いつも」

「そんな事ねぇって。で、改装って明日からすんの?」

「そうよ。さっきまで店の子が手伝ってくれてたの」

「へぇー…」


辺りを見渡しながらカウンターの椅子に座ると同時に目の前にグラスに入った麦茶が出てくる。


「あ、ごめんね。トマトジュースないのよ、お茶しか」

「俺がいつトマトジュース出せっつった?いらねぇよ」


クスリと笑った沙世さんから視線を離し、俺は咥えたタバコに火を点ける。


「相変わらずよく吸うしよく飲むわねぇ…」


顔を顰めた沙世さんが目の前に料理を出していく。


「今日は一滴も飲んでねぇし」

「あら。凄いじゃない。ヤケ酒してたんじゃないの?」

「……」


当たってた所為で何も言えなく黙る俺に、沙世さんは頬を緩めた。