次の日の夜。

昼の仕事が終わった後、俺は諒也に会いに病室を訪れた。

コンコンと扉を叩く音に、「はい」と短く返事が返って来る。


スライド扉を開け中に入ると、諒也は見ていたスマホから視線を俺に向けた。


「あ、翔さん…」

「よぉ。お前、大丈夫?」


スマホをテーブルに置く諒也を見ながら俺はパイプ椅子に腰を下ろす。


「全然、平気」

「平気って、まだ痛むだろうが」

「ただ俺で良かったって思ってる。美咲と葵じゃなくて、マジで良かったって」

「……」


そう言った諒也は何故か寂しそうに笑った。


「じゃなかったら俺、翔さんに示しつかねぇもん」

「は?なんで俺?」

「呼んだの俺だしな。アイツは元気?」

「美咲?」

「そう」

「さぁ会ってねぇからな。電話はしたけど。それより葵ちゃんは?」

「会ってねぇよ。電話もねぇし俺からも掛けてねぇから」

「蓮斗がさー、お前がまだ麻酔効いてる時にここに来たらしくて、そん時、葵ちゃんカナリ泣きじゃくってたらしい。自分責めてるって言ってたぞ」

「……」

「電話しろよ。俺も心配だし」

「翔さん、心配すんの葵じゃねぇじゃん。美咲っしょ?アイツ今、相当に悩んでっけど」

「悩むって何に?」

「やっぱ翔さんに言ってねぇんだ」

「美咲が言うと思うか?そもそも美咲と俺は浅かな関係だし…」


会いたいとも言わない。

だからと言って電話もあまりして来ない奴なのに…