結局、俺の行動はいつもこうだった。

何かを考えないようにするために、仕事に向かう。

気が紛れて余計なことは考えずにすむから。


「…翔。おはよ」


振り返った先に蓮斗。

俺を見た瞬間、何故か笑みを漏らした。


「…はよ」

「寝れた?って、そんな感じじゃなさそうだな」

「寝てれねぇのはお前じゃねぇのかよ。俺の為に1日以上、一睡もしてねぇんじゃねぇの?」

「あれ?心配してくれてんの?」

「まぁな。探偵に連れていける女いた?」


苦笑い言葉を吐き出すと、蓮斗は思い出したように同じく苦笑いを漏らした。


「結局、梨々花呼んだわ。ホテルに来いっつったら、“え?今からヤんの?私眠いんだけど“って言われたし」

「ははっ、そりゃそうなるわ」

「なんでわざわざあの時間に呼び出してヤらねぇといけねぇんだよ。おかしいだろ」

「梨々花らしいな。悪かったなマジで。梨々花にも申し訳ねぇな」

「リリはそんな事なんも思ってねぇから。それに全部俺が動いてたって事でもねぇしな。寝てる間はダチが終わらせてくれてたし」

「そか。悪かったな」

「別に。つーかお前の為にした。とかでもねぇし」

「え?」

「あー…なんつーの?諒也見に行った時、泣きじゃくってた子みて思った」

「……」

「私の所為なんです。私の所為なんです。ってずっと言ってて、このまま目覚めなかったらどうしようって、死んだらそうしようって、」

「……」

「あれに結構やられたって感じ。…過去の俺とリンクしてしまった」

「……」


蓮斗の過去と俺の過去は比べ物にはならないけど。

大切にしていた幼馴染を亡くしてしまった過去。

それとリンクさせるほど葵ちゃんは取り乱してたんだろう…


「二度と思い出したくねぇのに思い出してしまった。んでさ、その子が私の所為で美咲まで巻き込んでしまって、美咲に申し訳ないって。どうしようって、お前にも迷惑かけてどうしようって言ってたぞ」

「そっか、」

「つかさ。俺とは初対面なのに泣きじゃくって話すって、相当パ二くってたけど」

「……」

「さすがにほっとけなかったけら、落ち着かせて帰ったけど。…つか、美咲ってお前の気になる女?」


クスリと笑う蓮斗に思わず俯き、それを紛らわすようにタバコを咥えた。