蓮斗に言われた場所は殆ど廃墟だった。

よくもまぁ、こんな廃墟知ってんな、と思う場所ばかりで。

そこに誰が居るとかではなく、ただガラクタ塗れの建物が印象に残るだけだった。

午後3時。

流星を先に帰らせた俺は最後の一軒を確認したあとタクシーに乗り込んだ時、その蓮斗から電話がきたのは夕方。


「とりあえず後は俺がするわ。ツレに頼んでっし、お前仕事行けよ」

「悪いな」

「あー、そだ。昼頃に諒也見に行ったら、まだ麻酔切れてなくて寝てたわ」

「そっか」

「一応、看護師に聞いたらバイタル安定してっから後は目を覚ますだけらしい」

「そか。でさ、ちなみに病室に誰か居た?」

「え?あー…、うん一人居た」

「どっち?」

「は?どっちって俺知らねぇし。1人しか居なかったし。ただ泣きじゃくってた」

「あー…」


…葵ちゃんか。

アイツは…美咲は帰ったんだろうか。

結局何度か掛かって来てた電話にも出ていない。


「まー…うん、あれだな。なんとなく理由は分かったけど」

「そか」

「そりゃ女関わってたら必死になるわな」


そう言った蓮斗はクスクス笑った。


「悪いな。警察行ったら色んな事情聴取がめんどくせぇから。お前通したほうが、はえーと思って」

「あ、その事だけどよ、病院に警察来てたわ」

「まぁ来んだろうなって思ってだけど」

「俺が話つけといたから」

「悪いな」

「この前見た奴?アイツの仲間は特定出来てっから1日もあればいけんだろ」

「流石すげぇな、お前」

「警察も動き出してる。後の事は俺が全部片しとくから、また電話するわ」

「ありがと」


次に蓮斗から連絡があったのは早朝だった。

見つけた。と言う連絡がきてやっと俺の安堵のため息が溢れた。

色んなことが頭の中を支配する所為もあってか、ほとんど眠りにつくことすら出来ず頭が重い。

だけど気持ちを切り替えて俺はスマホを耳に当てた。