「あれ?お前なんでまた来てんの?」

「……」


ホールの真ん中でパソコンを打っていた流星の手が止まり、俺を不思議そうに見つめる。

その流星の顔を見ながらため息を吐きだし、俺はソファーに背をつけた。


「俺の顔見てため息吐くなよ」

「諒也が刺された」

「…は?意味分かんねぇわ。誰に?」


流星は驚いた表情で俺を見つめた。

そりゃ、そうなるわな。


「俺が知らん奴」

「諒也は?」

「病院送って手術中」

「まじかよ」

「あぁ」

「つか何でそんな事になってんだよ?アイツまた何やらかした?」

「いや、元はと言えば諒也じゃねぇんだけど…俺にもよく分かんねぇし」


真相は何も聞かずに出て来た所為で未だに分かんねぇ。

だけど美咲が関わってる事だけは何となく分かる。


「は?…で、刺した奴捕まえたのかよ?」

「いや、」

「いやって、なんか手掛かりねぇのかよ」

「さっき蓮斗に頼んだ。アイツの知ってる奴だから」

「レンの知ってる奴?」

「あぁ」

「どゆこと?あいつの連れって事?」

「いや違う。一度、務所に送った奴らしい」

「あぁ。そう言う事か。レンもいろんな奴、知ってるな。流石顔広いっつーか、なんつーか、」

「確かに」

「まぁ頼るとしてはアイツしか居ねぇよな。で、お前は何で帰って寝ねぇの?」

「帰ったら起きれそうにねぇから。7時くらいに起こして」


ソファーに横になる俺を無言で見つめた流星は小さくため息をつき、またパソコンに視線を移す。

その姿を最後に俺は軽く目を閉じた。