つか、流星の奴まじで覚えとけよ。

いくら話題がねぇからって俺のネタで話し込んでんじゃねぇよ。

もともと流星と蓮斗は高校からのツレで、流星が俺を通して蓮斗はこの仕事についた。

そもそも流星から誘って飲みに行くと言うのは滅多にない。

忙しいってのはあるけれど、基本、流星は誰かが居たらその席に入り込むって感じで、自分から誘うのは、ほぼ昔からあまりない。


だから今回、蓮斗を誘った事に驚いたが…


「俺の話って、意味分かんねぇわ」


思わず呟き、流星に苛立った。

自動販売機で珈琲を買った俺はビルの壁に背をつけてプルタブを開ける。

珈琲を口に含んだ時、


「お前の機嫌悪い理由って、それかよ」


口元に笑みを作った蓮斗が俺の前で更に笑った。

肌寒いこの季節とは対照的に半袖でいる蓮斗。

その半袖からチラチラ見える刺青がやけに目立った。


「別に機嫌悪くねぇけど。つか、すげぇ眠い」

「そんな寝てねぇくらい何してんだよ、お前」

「いや別に。…つか、さっきので気分悪いくらいだしよ」

「さっき?あー…ユウト?」

「なんなの、アイツ。まじで」


深いため息を吐き出した俺に蓮斗はクスクス笑い出す。

何をどんな風に話してたのか聞くのもめんどーで、溢れて来るのはため息ばかりだった。


「ユウトがお前の事、最近機嫌悪くて、そっちではどうかってな」

「そっちって、この仕事かよ」

「そう。夜は機嫌悪くて…って言ってたな、アイツ」

「…最近アイツ、俺の領域に入りすぎんだよ」

「意味深だな、その領域っつーのは」

「別に。あー…そだ。お前も来いよ、飯食いに行くの」

「え?タケルとの飯食い?」

「そう。アイツと2人は疲れる」

「あー…俺はおまけって事かよ、いいけど別に。お前が奢ってくれんのなら」

「じゃなきゃ来ねぇだろ、お前」


ハハッと笑う蓮斗は俺に背を向けて現場に向かって行く。

その背を見ながらまた流星を思い出し、思わずため息が出てしまった。