「やめろ。暑苦しい」

「今日は肌寒いほうっす」

「俺は暑いんだよ」

「翔さん…酔ってんすか?」

「酔ってねぇよ」

「あーあー、今日はマジでご機嫌ナナメっすね」


不貞腐れたようにタケルが俺の肩から腕を退ける。


「また飯食わせてやっから、一人にさせて」

「マジっすか?いつ行きます?今日?明日?」

「わかんね、そのうちな」

「よっしゃー、今から楽しみっす!」


こんな事ではしゃぐタケルに思わず馬鹿っぽく鼻で笑う。


「お前、ほんと馬鹿だな」


クスクス笑って背を向けた時、


「あー…翔?」


その声でもう一度俺は振り返った。

俺の顔を見た瞬間、タバコを咥えたままの蓮斗がクスクス笑みを漏らす。


「…んだよ、」

「この前、ユウトに誘われて飲んでたんだけどよ、」

「へぇー…、え?アイツから誘うの珍しいな」

「だろ?何かと思えば、それがお前の恋バナ聞かされたわ」

「は?」

「女に困る事ねぇお前がな困ってるって。まー、頑張れよ」


面白おかしく馬鹿にして笑う蓮斗に軽く舌打ちする。


「えっ?翔さんの恋バナって何すか?俺にも教えて下さいっすよ」


案の定、話に乗っかってきたタケルに思わずため息を吐き出す。


「なんで怒ってんのか知んねぇけど、お前に話したらアイツ更に怒んだろうが」


未だにクスクスと笑う蓮斗の言葉にタケルは、「はぁ?」と声を漏らす。


また出てしまった舌打ちとともに背を向け、俺は自動販売機に向かって歩き出した。