美咲を見てすぐに分かった事。

あぁ、だからか。

だからアイツは俺の電話に出なければ、掛けて来ることもなかった、と。


私服に身を包んだ美咲は、誰がどう見ても高校生だとは思わない要素。

その要素で誰も不思議だとは周りは思わない。


隣に男が居ようが、そんな事、誰も援交だとは思わない。

いや援交と言うより相手が分からない。

親父でもなければ中年でもない。

おそらく同年代の若い男だろうと。


だからまだいいっか。なんて思えるはずもなく、俺の苛立ちは何処にぶつけたらいいのかなんて分からなかった。

あの場所に入り込んで行く勇気すらない。

初めて会った頃みたいに、美咲を引っ張って来る勇気なんて何もない。


美咲、自身でやっている事。

あいつが何しようと俺には関係ない。

だけど、それをどうしたら食い止められるんだろうと思うばかりで、何一つ答えなんて見つからなかった。


美咲を俺の手元に置くのは相当に難しい事だって事。

だからと言って俺から身を引けばここでもう終わりだと思う以上、アイツをほっとくわけにもいかなかった。


なんでここまでしてでも、俺は美咲を気にしてるんだろうと。

ありえないと思っていた高校生を何故、俺は…


そんな事、自分にでも分からなくて、気づけば美咲を目で追ってたって事。


見なかったことに…とは思わなくて、俺は視線を外し空を仰いで息を吐き捨てた。

宙で彷徨う視線と濁ったため息。

つか何に苛立ってんのかも分かんねぇな。


「…あーっ、楓っ!こんな所で何してんの?」

「……」


明るい声で意識がハッと戻る。

振り向く先にはミカが蔓延の笑みで俺に近づいて来た。