「…かーえでっ、」
閉店後、仮眠をとって外へ出た瞬間、弾けた声が耳に張り付く。
気だるく振り返ると、蔓延の笑みを漏らすミカが居た。
「あー…お前か、」
「なによ、その言い方」
「楓の車あったから朝に出てくるだろーなって思って。なーんかお疲れちゃんだね?」
「あぁ、すげぇ疲れてる」
3時間の仮眠じゃ全然、眠さは解消されず目頭を擦る。
「睡眠薬あげようか?」
「ばーか。そんなもん飲むと起きられねぇわ。これから仕事なのによ」
「え、仕事?なんの?」
「あー…、何でもねぇわ」
そういや、ミカには昼間の仕事、言ってなかったな。
説明すっとめんどくせぇしな…
「ねぇ、なんでそんなに頑張るの?」
「さぁ…な。つか、用ねぇんだったら帰るわ」
車の前まで来た俺は、ドアを開け座席に座る。
そしてドアを閉めようとした瞬間、「ねぇ!!」その声と同時に、ドアがミカの手によって阻止された。
「なに?」
「楓さ、彼女出来た?」
「は?」
「前にさー…楓と女が一緒に歩いてたの見た人が居るからさ」
「女?同伴だろ」
「客じゃなさげっぽかったらしいよ。繁華街歩いてたってさー…」
「繁華街?」
「楓、私服だったーって言ってたし」
「あー…」
思わず語尾を伸ばしてしまった。
記憶を辿ると、多分、美咲の事だろう。
だよな。あんな堂々と繁華街歩いてちゃ、そら誰かに見られててもおかしくはない。
「ほんとに彼女出来ちゃったの?」
「彼女じゃねぇしな」
「じゃ誰?」
「はいはい。お前には関係ねぇから。じゃあな」
ヒラヒラと手を振って、バタンとドアを閉める。
「ちょっと、楓!!」
バンバンと窓を叩くミカにもう一度ヒラヒラと手を振って、車を発進させた。



