「やっぱ、居るんだ。好きな人…」


念を押す様に言って来る愛莉に、俺はタバコの煙と同時にため息も吐き捨てる。


「いねぇから…」

「じゃあ別に私でよくない?」

「はい?」

「こんなに翔の事、愛してんのにな…」

「それは愛とは言わねぇだろ。愛莉は俺を利用してるだけ」

「利用?」


呟いた愛莉の顔が曇り、眉を顰めた。

そう、俺を利用してるだけ。

ただ愛莉が寂しくなった時に、その空間に俺を埋めようとしているだけ。


「そう。寂しくなった時に埋めるそんな便利な俺でもねぇよ」

「どう言う事?」

「悪いけど昔みたいには戻れねぇし、俺はお前を幸せにする事も出来ない」

「変わったよね、翔。昔はそんなんじゃなかったのに」

「お前は何も変わってねぇのな。いい男、作れよ」

「それ本気で言ってんの?翔よりいい男なんていないけど」

「よく言うよな、お前。俺の事なんも知んねぇじゃん。男いんのに俺と寝てたくせに」

「そっちだって男居るって分かってたのに、私と寝てたでしょ?」

「男居んの知ったの途中だからな」

「でも結局は翔じゃなきゃダメだった」

「お前、俺の事なんもしらねぇだろ」


そう。外見ばかり見て、俺の中身などなんにも興味なかったくせに。

男居ながら俺と寝て。

確かに、俺もあの頃は利用してたのかも知れない。

誘われたら断る理由などなく、好都合だったのかも知れない。


男居んのに、好きとか。付き合いたいとか、そんな言葉を吐き捨てて来る愛莉に俺は利用されていた。

いや、お互い利用し合ってた。


「長い付き合いだったから翔の事は知ってるよ」

「長い付き合いねぇ…」

「やっぱさ、身体の愛称って大事でしょ?」


ありえねぇ言葉に俺は嘲笑的に笑う。

やっぱ、コイツは昔も今も同じ。

俺の中身など、どうでもいいんじゃねぇかよ。