「何それ、馬鹿にしてんの?」
「さぁ?」
軽く首を傾げながら微笑み、目の前の料理に手をつけた。
何故かこの女と飯を食うことが新鮮でたまらなかった。
それは何でか自分にでも分かんねぇけど、こう言うタイプは初めてで、無暗に騒がれるよりかは居心地が良く感じてしまった。
「ねぇ、あんたって働いてんの?」
不意に聞かれた言葉に一瞬躊躇った。
「まぁな」
曖昧な言葉を呟いたつもりでも、
「何してんの?」
そんなに気になんのか、更に聞く。
「なに?俺に興味でてきた?」
「でるわけないでしょ。アンタに興味ないし」
「ははっ、そんな事も初めて言われたわ」
「あっそう」
俺に、興味ねぇか…
面と向かって初めて言われる言葉に何故か苦笑いが漏れる。
みんなが皆、俺の事を知ってるとは限らないけど、あの場所でスーツ着てたら大体分かんだろーがと思ってしまった。
だからと言って、″ホスト″と言う言葉は何故か吐き出せなかった。
別に隠すつもりなど全くない。
だけど気づけば「一応…トビ」そう呟いてた。
「一応って何?トビって、あのトビ職の事?」
「あぁ…」
間違ってはいない。
今の俺はホストが本職なんだろうけど、トビも間違ってはない。
そうどうでもいい様に呟き、俺は残ってるビールを喉に流し込んだ。



