「さぁ、どうかな?」


フッと誤魔化す様に笑みを漏らし、俺はリアの腰から手を引いた。

何故か分からないが罪悪感が芽生える。

頭の片隅に浮かんだ美咲の顔が離れないと同時に、何をしているんだと思う自分に呆れのため息。

勢いのままに、俺が助ける。と言ったものの何も出来てない自分が情けなく感じる。

なんで、あんなことを言ってしまったんだろうと…


「ほんと楓って、私の話を交わすわよね」


リアがため息交じりで呟いた。


「そんな事、ねぇよ。リアは俺にとって大切な存在」


愛はないけど大切なのは確か。

俺をここまで導いてきた存在だからこそ、大切にしたい。

でも美咲と比べてしまうと、何故か俺の頭は美咲でいっぱいだった。

だからこそ、俺は雑誌の取材に今のこのままの感情をぶつけていたんだと、後になって気づいた。

その日の閉店後、俺が語った言葉の記事を流星が手渡した。


「お前にとっちゃ、素直な感想だな」

「素直な感想ねぇ…」


面白そうに笑う流星に俺はため息を吐きだした。

これから雑誌になるだろうと言う記事を俺はペラペラと捲った。


″絶頂期に達している彼…当本人はそんな自覚など何もなく、至ってマイペースだ。そんな彼に、辞める理由が見つからないですね。と聞くと、彼はこう言った。“

″求めるもの支えるものがあれば辞めますよ。だけどそれはいつかは分かりません。“

″そう言った彼には何かあるのか知れない。“


書かれている記事を俺はテーブルに置き、ソファーに横になって軽く目を瞑った。