「ルイに変更でもした?」

「なにそれ。だったら今、楓と居ないけど」


フッと馬鹿っぽく笑ったリアは少し眉を寄せて俺を見上げた。


「リアとルイが一緒に居たって」

「あー…あれね。気になる?」

「そりゃね」

「じゃあ、私の事好き?」

「好きだよ」

「それって愛があると思っていいのかしら?」

「…悪いけど、愛はない。でも好きだよ、リアは大切な存在」


フッと小さく笑ったリアの声が耳を掠める。

愛は、ない。

それは確実に言える。でも、客として大切なのは確かだった。


「…言われると思ったけど、ハッキリ言わないでよ。好きより愛のほうが良かったけど。ねぇ、抱きしめてよ」

「……」


その言葉の通り何も言わずに空いている右手でリアの腰に腕を回す。

バチバチと傘に弾く雨の音がやけに耳に張り付く。

足元を濡らしながら歩いて行く人達の視線が俺達に向かう。


…あぁ、何してんだろう。と小さく心の中で呟く。


「こういう形で出会ってなければ私達、付き合ってたのかな?」


不意に呟かれたリアの言葉に瞳が揺らぐ。

付き合う?俺とリアが?

思わず馬鹿らしい笑みが込み上げてきた。

お前は俺をホストと言う存在で見ている。

もし俺がホストじゃなかったら、こんな俺に眼中にもねぇんじゃねぇの?

大概の女はみんなそう。

俺の要素だけで、本当の中身など見ねぇくせに。

俺の外見を使って。

でも、それを都合よく利用してた俺も俺だけど。