「ってか、それって毎日じゃねぇだろ?」


笑いながら女を見ると、ここぞとばかりに俺を睨む。

手元に運ばれてきたビールを乾ききった喉に流し、タバコを再び口に咥えた。


「まぁ、飲めよ。ジュースが良かったら頼むけど」


タバコを咥えたままウーロン茶に指差し、未だ笑いが込み上げる俺に眉を寄せながら女はウーロン茶に口をつける。

笑うな。とでも言いたげな、その表情を崩した顔に、怒んなよって、言うまでもなく、


「すみません」


近くに居た若い男の店員に軽く手を上げ、再びメニューに視線を落とした。


「はい。お決まりですか?」

「えーっと…、唐揚げと焼き鳥の盛り合わせ、あと刺身と揚げ出し、肉じゃがと、あと――…」

「ちょっと!!」


俺の声を遮ったと思えば、焦った表情で女はメニューを右手で塞ぐ。

あまりの声の大きさに驚いたのは、俺よりも店員の方だった。

店員は目を丸くし、半分開いた口を閉じることなく女に凝視する。だからそんな店員の男に俺は凝視してしまった。


「何?」


そんな滑稽な店員からすぐに視線を逸らし、俺は女へと視線を移す。


「誰がそんなに食べんのよ」

「誰って、俺とお前しか居ねぇだろ」

「ってか、そんなに食べれる訳ないじゃん」

「こんくらい余裕だろ。お前食ってねぇんだったら食えよ。残ったら残ったらでいいし」

「……」

「で、あとポテトとホルモン焼き。あと生ビール大一つ。以上で」

「はい。畏まりました」


あたふたしながらメニューを復唱していった店員が姿を消すと、目の前の女は唖然として俺を見た。