あの日。美咲と会ってからもう既に3週間目に突入しようとしていた。

なのに相変わらず美咲からの連絡など一度もないことに俺は呆れた様に思わず鼻で笑う。


ま、だろーな。あいつが掛けてくるわけねぇか。

むしろ俺も俺でなんでそんな事、気にしてんだっつーのかが自分にでも分かんねぇ。

スマホを取り出し画面に美咲の名前を出して掛けようとした瞬間、


「お前、最近超マジメじゃね?」


クスクス笑い声が聞こえた流星の声に思わずため息を吐き捨て、スマホをテーブルに置く。

閉店後、ソファーに横たわる俺と同じように流星がソファーに腰を下ろした。


「別に」

「そこまで頑張るためのものをなんか見つけたのかよ」

「は?意味わかんねぇし」

「だって遅刻しねぇから」


意味ありげにクスクス笑う流星が邪魔物にしか見えなかった。


「俺、あんま遅刻しねぇけど」

「は?どの口がそんな事言ってんだよ。美咲ちゃんの為なら遅刻すんのに。って事はもう振られた?」

「つーかさぁ、まだ始まってもねぇんだけど」


思わずそう呟いた俺に流星のクスクス笑う声が聞こえる。


「あぁ、なるほど。珍しーね、お前がそんな惹かれんの」

「そんなんじゃねぇけどな。しかも惹かれてもねぇし」

「へぇー…」

「てか俺、ホスト向いてねぇなって思う」

「は?今更なに?」

「別に俺、騒ぐの好きじゃねぇし。なんか疲れる」

「つか何でそんなネガティブなわけ?お前って、そんなんだっけ?」


流星は不思議そうに俺を見たかと思うと、フッと鼻で馬鹿にしたような笑いを漏らす。

ほんとに、何言ってだよ、こいつ。と言わんばかりに流星は声に出して笑い始めた。