ずらっと並ぶのは夜の店を通り過ぎてホテル街。

それと同時に湧き上がってくる変な感情が、うっとおしくて仕方がなかった。


なんでこの女は援交なんかしてんだろうか。と言う変な感情。

別にこいつが何をしようとかそんなの別にどうでもいいけど、やはり手放すのは勿体ない。

それはこいつに好意があるからとかじゃない…のは確かだが。


ホテル街の中では一番高級と言っていいのだろうか。

目の前にピンク色で塗られた外壁のホテルを見上げると、俺はもう一度笑みを漏らした。


「ここ入る?」


冗談で面白おかしく言った俺に、女は更に顔を顰める。

見上げてくる女からは不機嫌まっしぐらと言える表情で、その綺麗に整った眉が更に中央に寄った。


「私で遊ぶのやめてくれる?」


案の定、思った通りの冷たくあしらった言葉が更に俺をエスカレートさせる。

やっぱ、こう言う女は嫌いじゃない。

だからと言って、好きだとも言えないけど、俺の周りに居る女達とは全然違うタイプ。

ほかの女なら簡単に“入る“と言うのにこの女は違った。


だからなのかも知れない。

軽い気持ちで興味もつのもアリかと。


「まっ、冗談だけど…」


そう呟き、止めていた足を再び動かす。

二人並んで歩く事すら出来ないこの細道を俺は女の腕をしっかりと掴み足早に進んだ。