「あー…、無視ってやつか。可愛くねぇ」


背後を追って、呟いたその言葉に、俺は面白おかしく鼻で笑った。

ま、別に嫌いじゃねぇけど。

そんなソッポ向く女に、再び笑みが漏れる。

しかも、嘲笑的に。と、同時に、


「うるさいっ、」


女が足を止めたと同時に吐き捨ててくるそのセリフにまた笑みが零れる。

睨みつけてくるこの女に、俺は軽く口を開いた。


「なんだ、喋れんじゃん」


案の定、女は俺を睨んだままで、その先の言葉を発してくることはない。

てか、綺麗なのに台無し。

高校生とは言えないほどのこの透き通った綺麗な顔に一瞬釘付けになってしまった自分自身に正直呆れの笑みが漏れる。


つか、高校生に興味ねーんだけどな。

なのに、何故か手放すのは勿体ないと思った。

ただ、暇つぶしになればいいと。


「ねぇ、アンタこんな所でいつも何やってんの?」

「…別に」


返してくれねぇと思ってた返事があっさりと返してくれた事で、俺は拍子抜けするとともに、咄嗟に女の腕を掴んでた。


「まぁ、いいや。着いて来い」


そのまま引っ張って足を進めていくと、


「ちょっ、何すんだよ!」


その大きな声に一瞬、眉間に皺が寄る。

だけど、女の言葉を無視して俺はひたすら足を進めた。