耳元で鳴り続けるアラームの音が、睡眠を邪魔する。

シーツを剥ぎ取って、腕を伸ばし、そこにあるスマホを掴んでぼやける視界で画面を見つめた。


「だるっ、」


思わず吐き出したため息と、けたたましく鳴るアラーム音。

音を消して、身体を起し無造作に髪をかき上げた。


ここまで相当に眠さを感じたのは久々だろう。

昨日…いや、今日帰ってきてすぐに寝たものの、結局は3時間も寝てはいない。


重い身体を引きずるようにベッドから出し、眠さを遮ろうと洗面所へ向かう。

顔を洗っても眠さなんて吹き飛ぶ訳もなく、俺はテーブに置いてあったタバコを咥えた。


そしてそこにある一万円札に、ふと視線が向く。


美咲にへと置いていた一万円札。

昨日の夕方、それを置いたものだった。


ぼんやりと見つめながら煙を吐く。

二日酔いなんて全くないものの、今日は眠さに勝てないような気がした。


だけどとりあえず仕事に向かう。

相変わらずタケルのうるせぇ声を聞きながら仕事をする。


まぁ、逆に静かだと寝てしまう勢いだったから助かったものの、相変わらずのうるささに眉を寄せた。


「…おい、お前もっと静かにできねぇのかよ」


口から出た本心に、タケルは、「俺が静かな時は多分、死んだ時っす」なんて当たり前の事を言いだすから、それに返す言葉すらなく、呆れため息で終わる。