「翔さん、いい女、紹介して下さいよ」
「女?」
仕事中、軽々しく言うタケルに呆れたように返す。
こいつと話してると二言、三言の次には女の話に繋がる。
「そう女っすよー、翔さん顔広いじゃないっすか」
「つかお前、女いるだろ」
「別れたんすよ」
「はえーな、お前」
一か月も経ってねぇじゃねーかよ。
思わず苦笑いで返す俺に、タケルはため息をついた。
そのため息が、何のため息か俺には全く分からず。
「いや、だから。いい女紹介して下さいよ」
「そんな女いねぇよ」
もしいたとしてもお前には言わない。
「マジっすか?夜の仕事でいっぱい居るっしょ」
「そう言う感覚で見てねーし」
「マジで!?俺なら彼女探し?みたいな…」
「ありえねー…じゃ、お前も来いよ」
その軽いノリならお前なら軽々いけんだろ、。と思えば、
「いやー無理無理。さすがに無理っすわ。俺、職人一色なんで」
なんとも言えない馬鹿な答えをかえしてきた。
「職人じゃねぇだろ。女、一色の間違いなんじゃね?」
間違えたことは言ってないと思いつつも、タケルは「はぁ!?」と大声を出す。
どうやらそこは違ったようで、やっぱりこいつの事は未だにわかんねぇ。
仕事に入った時からタケルはこんな軽い性格。
ストレスすら溜まんねぇだろうと思うその性格に内心、羨ましかったりもする。
「お前さ、悩みねーだろ?」
呑気そうに見えるタケルに言葉を投げた。



