「じゃあ、私と寝たら″あれ″出してあげる」


クスリと笑ったリア。

ガラス張りのケースに入ってる一番上の段に指さすリアを見て目を見開いたのは言うまでもなかった。

一番上にそびえたつボトルは、ブラックパール高級ボトル。


…3000万円越え。


簡単に手が付けられないのが分かってるからこそ、みんながそれに憧れを抱いてる。

ホストなら当たり前にそれを自分につぎ込んでほしいなのだろうけど、俺はそれに対する欲など全くない。



「どう?」

「……」


真っ赤な唇を綺麗に上げ、微笑むリアに喉を鳴らす。

まるで、本気だよって言ってるその笑みが嘘とは思えなかった。


「だってあの子、枕で稼いでるでしょ?だったら楓もそうすれば?」

「俺と寝たいの?俺と寝たところでリアに得るものは何もないと思うけど」

「あるよ。愛のないセックスはしてるけど、愛のあるセックスはまだだから」

「へぇー…」

「それを楓としたい」

「……」


愛のあるセックスねぇ…

それが何なのか俺にも分かんねぇよ。

むしろ、それがどんなものか教えてほしいくらいだ。

だからと言って、リアと寝た所で愛に繋がるとは思えねぇし…

むしろ、ここで寝たらアイツに言った説得力も何もねぇじゃん。

アイツと言うのは不意に過った美咲の事で、金の為に寝るなと言った事を思い出し、眉間に眉が寄る。


「もう寝ない法律破ったら?私は楓の事、好きだよ。愛してる」

「うん。ありがと」

「じゃ、その気になったって事?」

「…いや、」


数秒間に置いて、言葉を吐き出し俺はソファーから身体を起し、灰皿に手を伸ばす。

長くなった落ちる灰を見ながら、言葉を続けた。