「楓さん、腹筋凄そうっすもんね」

「そんな事ねぇけど。ちょ、触ってみ?」


おもむろに隣の女の手を掴み、シャツの上から俺の腹に触れさす。


「え、凄い。めっちゃ固いやん」

「私も触りたいーっ、」


もう一人の伸ばしてきた女の手を更に掴んで腹に当てる。


「凄い、めっちゃ鍛えてるやん」

「まー、俺の身体ポイントやしな。この身体で抱きしめたるわ」

「抱いてよー」


ギャハハ。と笑いを上げる女に、「俺も楓さん見習って、ポイント貯めますわ」同じように笑う彩斗を目に俺はそこから視線を外し流星を探していた。

その後どこの席でも、ポイント扱いされ、笑われ笑いのネタで終わる。


一度、席を立って、フロアを見渡してる流星の隣に行き、おもいっきり背中を肘で叩く。

そう。力を込めて。


「いってーな、」


案の定、流星は顔を顰めたまま後ろを振り返った。


「お前の所為で俺、ポイント扱いじゃねぇかよ。なんだよ、それ」

「いやいや、勢い乗っちまって、つい」

「ついじゃねぇよ。みろよ、この俺のポイント」


ゲラゲラ笑う流星の腕を掴み、腹を数回叩く。


「おぉ、さすがすげぇね。ポイント貯めたかいあったな」

「貯めてねぇよ。マジお前――…」

「…楓さん、リアさん来てます」


隣に来て耳打ちされるその言葉に一瞬にして俺と流星の笑みが消える。


「もー俺、今日はリア無理だから。お前ちゃんと責任持てよ」


流星は相当以上に疲れたのか、リアの名前を聞いた途端、物凄く顔を顰めため息を吐く。


「あー…」

「とりあえず、お前ひとりでやれ。ヘルプ入れねぇから」


ヒラヒラと手を振り、この場を離れる流星に苦笑いする。

むしろヘルプ入られる方が困る。確実に空気悪くなるのが目に見えてる。


それに誰も俺ら2人のヘルプなんかに入りたくねぇだろう。