「まー、ポイント大事やろ」
もうここまでくると否定すら面倒くさかった。
だからもう、それに乗ってやろうと。
笑いながらタバコの煙を吹かす俺に、声をあげて女は笑う。
「ポイント大事ってめっちゃおもろいやん」
「えー、そんな柄なん？」
「そーそー、俺、ポイント生活やし」
「マジでウケんねんけど。顔に似合ってへんで」
「つか笑いすぎやろ」
笑いながらタバコの灰を灰皿に落とす俺に、「喉乾いたからドンペリお願いしまーす」女は声を上げた。
そのドンペリが運ばれシュポッと言う音とともに蓋が開けられる。
「「カンパーイ」」
「乾杯」
注がれたグラスがカン…と小さく音を奏でる。
そのグラスに口を付けると、目の前に彩斗が座り込んだ。
「なーなー、知ってた？楓、ポイント生活やねん」
「え、ポイントっすか？」
何、それ。と言わんばかりに彩斗は目を見開き大声を上げる。
そんな彩斗に目を細めて見つめると、彩斗は知らないと言った様子で俺に小さく首を振った。
「マジ、おもろいねんけど」
「え、なんすか、それ」
「期限切れのポイント消費してたんやて」
「マジで？楓さんが？」
「そうそう。マジで笑える」
「楓さん、それある意味凄いっすね」
「つか、お前ら俺の事馬鹿にしすぎ。ポイント舐めんなよ！」
女の笑う声とゲラゲラ笑う彩斗。
それに釣られて、俺はため息交じりの苦笑いしが出てこなかった。
