「楓ーっ!」


店が開店すると同時に、響き渡る甲高い声。

女2人が大きく手を振る隣に、俺は腰を下ろした。


「すげぇテンション高いな」


テンション高々な女に口角を上げると、


「だって、昨日来たのにおらへんだやん」

″飛行機で会いに来たのに″


付け加えるようにして、女2人は頬を膨らませた。


「ごめん、ごめん。マジごめんって。そのかわり抱きしめてあげるわ」

「抱いて抱いて。なー、ジムってなんなん?」


笑いながら言う女の言葉にフッと思わず鼻で笑う。

やっぱ、そうくるか。と思いながら俺は紛らわすようにタバコに火を点けた。


「身体、鍛えてんの?」


笑いながら俺の腕を女は軽く摩った。


「そうそう。最近酒の飲み過ぎで腹出て来た」

「えー、どこがなん?てかほんまにジムなんか行ってたん?」

「行った行った」

「流星くん言ってたけど、ポイント消費してたんやろ?その為に行ったん?」

「は?ポイント?」


思わず訳の分かんねぇ言葉に、煙が喉に詰まりそうな感覚に襲われる。


「流星くんがな、ジムのポイントが今日で切れるから消費しに行ってんねんって言ってたから」

「で、楓うけるーって、話しててん」


あんの、馬鹿野郎。

話しがぶっ飛び過ぎてついていけねぇわ。

今から否定するのも面倒で、だからと言って休んだ理由すらも思い浮かばねぇ。


そもそもジムにポイントあんのか?

ホストになりたての頃は時間に余裕がありジムに通ってた時もあったけど、そんなもんあったか?


それにしてもマジ、流星の奴…

休んだ俺が悪いにしても、俺の事、馬鹿にして遊びすぎ。