ウインターゼりーを口に含みながら、俺は椅子に座りスマホの画面を見つめた。


″営業メール200件″


ふと思い出したミカの言葉に顔を顰めたまま首を傾げる。

いや、普通に無理。

こまめじゃない俺にとっては、そんな事出来ない。

出来ないっつーよりもしたくない。のほうが正しいのかも知れない。


こんなんじゃダメだと思いつつも、運に任せてる俺自身に苦笑いが漏れる。


「あ。楓さん、おはよーっす」


ちらほら″おはよう″コールが掛かる中、俺はスマホから視線を上げると、口角を上げた彩斗が居た。


「あー…彩斗。悪りぃな」


思わず顔を見た瞬間、苦笑いが漏れ、タバコに手を伸ばした。


「別にいいっすけどー、大丈夫っすか?」

「あー…売上?」


タバコを咥えて火を点け、彩斗に視線を送る。


「そうそう」

「まー…なんとかなんじゃね?」

「さすがっすね、楓さん」

「いや、余裕ねぇけどな」

「つか楓さんのヘルプに流星さん、久々に入ってましたけど、すげぇ盛り上がってましたよ?」


″楓さんの事で″


付け加えられるようにして吐かれた言葉に、眉が寄る。

話の内容からして、訳のわかんないジムってやつだろう。


「まー…仕方ねぇよな」


そんな言葉しか出てこなく、ため息とともにタバコの煙を吐き出した。