まだ流星と新人数人しか居なくて、とりあえず先にバックヤードに入り込んだ。

そこの壁に貼られてある売上表を目で確認する。


「あー…」


思わず呟きから苦笑いに変わる。

ま、ここ数日やる気がなかったのは確かで、少しづつ落ちているのも実感していた。

今月頭じゃ1000近く差が開いてたものの、その差が徐々に縮まって、昨日たった一日だけで追い越されている。


「マジか、」


″お前が居ないことをいい事にルイの奴すげぇけど″

流星の言ってた通り、…だった。


ま、仕方ない。

落ちるって自覚あったし、やる気がなかったのも確か。


″私の為にくだらない時間使ってんじゃないよ。アンタNO1なんでしょ?″

″ちゃんと行きなよ。アンタ飛んじゃうよ?″

″私の所為で飛ばされたなんて言われたら馬鹿馬鹿しいし″


そう言ってた美咲の言葉が不意に頭を過った。


別に、くだらない時間でもなかった。

俺なりにあれはあれで新鮮な時間だった。

だから美咲の所為でも何でもない。


「なー、お前落ちんだろ?」


俺の顔を覗き込むように流星は密かに笑みを作る。


「さぁ…どうだろ」

「あれ?全く動じてねぇじゃん」

「そうでもねぇけど」

「あと一週間で取り戻す?」

「…分かんね」


取り戻すかどうかなんて、そんなの自分にでも分かんなかった。

とりあえず今朝、掛けて来た女には″来て″とは伝えたものの、他には一切電話はしていないのだから。