カフェには黒豹と王子様がいます

「子供をなくした上に、元子まで無くしたら、生きていけない」

 拓海はその場にガクッと膝をついた。

「ごめんなさい!」

 涙があふれた。

「ごめんなさい……ごめんなさい……」

 拓海は私に手を差し伸べた。


 私、拓海の腕の中に戻ってもいいの?

 もう子供ができなくなったのに、拓海のそばにいてもいいの?


 拓海は私の手を引っ張って、ぎゅっと抱きしめた。

「元子……お願いだから、僕のそばからいなくならないで」

 ごめんなさい拓海……ごめんなさい……。


 それから拓海は、この宿の台所を借りて、美味しいコーヒーを入れてくれた。

「妊娠中はコーヒー我慢してただろ?」

 拓海はそう言って、優しく笑った。

 竹本さんがケーキの箱を差し出す。