カフェには黒豹と王子様がいます

 今思えば、ここに泊まるときに住所と名前を書いた。

 そうか、それでか。

 ぼんやりしていたら、その日の夕方、拓海と竹本さんが迎えに来た。

「あんた!心配したのよ……!」

 という竹本さんの言葉の向こうから、拓海が私に向かってツカツカ歩いてくる。

 拓海のこんな怒った顔、初めて見た。

 私は頬を叩かれた。

「ちょ、上杉ちゃ……」

「どんなに心配したと思っているんだ!元子は僕の気持ちを、少しは考えたのか!」

「や、やめなさいよ」

「うるさい!竹本くんは黙っていてくれ!」

「……元子ちゃんもつらいのよ?」

「僕は!……僕は」

 拓海の目から涙かぼろぼろこぼれた。