カフェには黒豹と王子様がいます

 親子連れが通り過ぎる。

 もう涙も出ない。

 見たくないのに目が追う。



 辛い。

 寂しい。


 
 一人のおばあさんがそばに来て、ベンチに座った。

「どこからきたの?」

 答えなかった。

「辛そうな顔して」

 私にかまわないで。

「あんたを探してる人も、きっとそんな顔してるよ」

 私はおばあさんを見た。

「うち、宿屋やってるから、今日は泊まっていくといい」

 おばあさんが立ち上がって、手招きするので付いて行った。

 出されたご飯は食べられなかった。

 ずっと布団の中でうずくまっていた。