カフェには黒豹と王子様がいます

「わかった、じゃあ、こうしよう。1年間。1年間だけ店を離れていい。そして、コーヒーをうまく入れられるようになったら、帰って来い」

「ありがとうございます!」

「その代り、戻ってきたときにテストする。コーヒーもそうだが、ケーキの腕を落としていたら、その場でクビだ」

「はい!」

 
 上杉さんはそのコーヒーショップで働いた。

 細々と得意なケーキも作らせてもらい、それがお客さんに受けて店は繁盛した。

 
 私は今度はそっちの店の常連になった。


 
「上杉さんて、おっとりしているように見えて、結構行動派なのよ」

「そうなんだ」

「意外な一面が見えた感じ」

「お姉ちゃん最近、上杉さんの話ばっかりするわね」

「そ、そう?」

「いいんじゃない?いい人そうだし」