カフェには黒豹と王子様がいます

「だ、抱きしめ……」

 香織さんが、あたしをじっと見る。

 あ、なんか誤解されちゃったかな?

「あのさ、言っとくけど、あたしは優とはほんとーに、何にもないからね。抱きしめたのも、子供の抱っこと同じだし、チューとかもしたことないから」

「ヤダ、そんなこと……」

 ええ、聞かれてませんけどもね。

 あたしは、優が幸せになってくれたら、相手なんて誰でもいい。顔だけに引っかかってきたそのあたりの女じゃいやだけど。

「香織さんなら大丈夫だよ」

「え?大丈夫って?」

「香織さんさ、優の事ちゃんと見てるなって。優の笑顔が、作り笑顔かそうでないか、見分けられる人少ないと思うもん」

「今日子さんにそう言ってもらえるとうれしい」

 あ、香織さんが笑った。