カフェには黒豹と王子様がいます

 私たちは黙ってタクシーに乗った。

 向かったのは徳永さんの家。

 徳永さんは、部屋の鍵を開けながら言った。

「いいんだな?」

「……うん」


 部屋に入ると徳永さんは

「シャワー浴びてくるよ」

 と言って、シャワー室に入って行った。

 落ち着かなくてきょろきょろした。

 コーヒーの本や雑誌がたくさんある。

 たくさんラインや印が付いている。

 走り書きで『コーヒーで人を癒す』と書いてある。

 私はどうしたら徳永さんを癒してあげられるんだろう。

 シャワーの音が止まった。

 ドキドキする。

 ……徳永さんは出てこなかった。