カフェには黒豹と王子様がいます

 徳永さんの背中が、泣いているように見える。

「徳永さん……」

「もう帰れ。……いてくれて、ありがとう」

 何とかしてあげたかった。

 どうにかしてあげたかった。

 徳永さんの苦しみを、徳永さんの悲しみを、何とか癒してあげたかった。

 私は帰って行く徳永さんを追いかけ、背中に抱き付いた。

「やめろって。僕、今何するかわからないから」

「……いいよ。徳永さんがそれで癒されるなら」

「……香織」

 徳永さんが私の手を引っ張り、抱きしめる。

 徳永さんの手が、私の肩と頭を強く抱きしめる。

 私の頬が徳永さんの胸にくっついている。

 徳永さんの心臓の鼓動が聞こえる。