カフェには黒豹と王子様がいます

「優くん、帰るよ」

 と声をかけた男の人に

「先に帰ってください」

 と笑って答える。

「優は大丈夫です。帰りましょう」

 今日子さんが、みんなに帰るように促した。

 私に向かって手をひらひらさせる。

 みんなが帰った後、そっと徳永さんのそばに行った。

 徳永さんは笑わない。

 こっちも見ない。

 ずっと下を向いている。

 西口さんの乗った便が、飛び立つ放送が入る。

 徳永さんの肩がピクッと動く。

 徳永さんの肩に触れると、徳永さんはやっとこっちを見た。

 私の手を握りしめ、大きくため息をつく。

 すっと立ち上がり、出口に向かう。

 私も付いて行く。