カフェには黒豹と王子様がいます

「……大丈夫ですか?」

「なにが?」

「私以外の子にもあんな……」

「ああ、麻由佳ちゃん?」

 徳永さんをじっと見た。

「しないしない。今日子に怒られたからもうしない。あの時はごめん」

 本当に反省しているみたいだった。

「香織にあんなことするなんて、自分でもどうかしてたって思うよ。ほんとに、来てくれてよかった」

「……ケーキ、食べたかったから」

 ふっと笑って、麻由佳とは離れた席に案内してくれた。

「お詫びに奢る」

 その日から、お客さんの前で愛想笑いする徳永さんが、私の前では笑わなくなった。

 私の前では無理に笑わなくてもいいと思ってくれたのか、私が笑わないから笑わないのか、わからなかったけど、愛想笑いされるよりよほどよかった。