カフェには黒豹と王子様がいます

 怒っているような、泣いているような、そんな顔をしている。

 早足で帰ってしまう徳永さんに、声をかけることはできなかった。


 でも、今の顔が気になって仕方がなかったので、追いかけていった。

 すると、急に人気のない路地に入る。

 パッとそっちに行くと、徳永さんがこっちを見ていた。

「何?ストーカー?」

「ち、違います!」

 笑ってる。笑ってないけど。

「何で追いかけてきたの?」

「徳永さんが、泣いているように見えたから」

「やさしいね」

 徳永さんが、私の腕をつかみ、路地の奥に引っ張り込む。

 壁に、自分の体で、私を逃げられないようにした。

「慰めて……くれるんだろ?」

 私に顔を近づけてきた。

「魔法が解けるのは、愛のキスなんでしょ?こんなことしても、魔法は解けませんよ」