カフェには黒豹と王子様がいます

 それからまた私は、店に行った。

 麻由佳にはナイショだった。

 でも、私はもともとこの店の常連だったのに、麻由佳に遠慮しないといけないことが、ちょっとだけ納得いっていなかった。

 今日も徳永さんがいる。

「そっか、よく考えたら、結構店に来てたよね」

「え?今更?」

「ごめんごめん、あんまりお客さんの顔覚えてないんだ。一期一会だからね」

「その言葉の使い方、間違ってませんか?」

「僕目当てで店に来てくれてんだろ?」

「違います。ケーキが食べたくて来たんです。私徳永さんの笑顔に全然興味ないし」

「ひどいな。これでもこのカフェの王子様って言われてるんだけど」

「自分で言うな」

「かわいくないね」

「知ってます」