カフェには黒豹と王子様がいます

「お、小野田先輩?」

「……ん」

「小野田先輩」

「うん」

「今日、フランス……行くんですね」

「うん。……俺、カフェ『コンフォート』のシェフになりたいんだ」

 俺は前進するんだ。

 西口、お前ももう立ち止まるな。

 声が出た。

 それだけで前進できるはずだ。

 いくら最後だからって、抱きしめちまった。

 徳永、ごめん。

 俺は自分の想いを押え、体を離した。

「急に、抱きしめたりしてごめん」

 西口は首をふった。

「徳永は優しくしてくれるか?」

「……はい」