カフェには黒豹と王子様がいます

 店の入り口を見た。

 徳永は今日俺が行くってことを、知っているはずだったからだ。

 来るはずない。

 徳永が来させるはずがない。

 会わない方がいい。

 そう自分に言い聞かせた。

「もう行きますね」

「小野田くん、タクシーで行くの?」

「はい、大通り出たところで拾います」

「送ってあげられなくてごめんね」

「何言ってんですか、十分ですよ。それじゃ」

 マスターに笑顔を見せ、店を出た。

 
 大通りに出ると、思ったよりタクシーがつかまらない。

 「空車」と書いたタクシーを見つけて手をあげる。

 3回目でやっと止まってくれた。

 奥にカバンを入れ、タクシーに乗ろうとした瞬間だった。