カフェには黒豹と王子様がいます

 俺は奥に入った。

 しばらくして、西口は徳永と店を出た。

「小野田さんは冷たいね」

 豊川が俺の顔も見ずに言う。

「冷たいよ」

 何とでも言え。

 俺だってどうしたらいいのか、わかんねえんだ。

 しばらく普通に仕事をしていたように見えた豊川が、いきなりトレンチをほおりだして、飛び出して行った。

 豊川の真っ直ぐさが、少しうらやましい。

 俺だって……

 俺だって、追いかけたい。

 西口……。


 その日から2週間。

 あれからなぜか、豊川が俺に突っかかって来ることはなくなった。

 何か吹っ切れたような感じだった。