カフェには黒豹と王子様がいます

「前進……」

「優くんもさ……あぁ、ごめん、今この名前聞きたくなかったかな」

 俺は首を振った

「優くんも……前進するために講習に行き始めただろ?小野田くんも前進すればいいじゃないか」

 マスターの優しさに、また涙が出た。

 しばらく黙って横にいてくれた。

「マスター」

「ん?なんだい?」

「どうしてそんなに優しいんすか?」

「優くんも、小野田くんも、僕にとっては息子だと思ってるから。君たちには悪いけど、豊川くんだってね。そして、西口さんは可愛い娘」

「マスター……」

「なるべくいつも、遠いところから見ているようにはしているけど、いざという時には、手を貸したいじゃないか」

 俺は思わずマスターの腕を握った。