「本当に、無事でよかった」

 そう言いながら西口を抱きしめる徳永。

 もう見ていられなかった。

 俺は走って病院を出た。

 走って走って、もうどこを走っているのか分からなくなるくらい走った。

 工場跡地のようなところの壁を、思いっきり殴った。

 殴って殴って、血が出ても構わず殴った。

 くたくたになった俺は、その場に横になった。

 もう日は暮れて、辺りは真っ暗だった。

 このまま消えてしまいたい。

 
 少しうとうとしていると、犬になめられた。

 何だ?

 茶色くてモフモフしている。

 シュガー??

「お、小野田君じゃないか、何やってんのこんなところで!」