カフェには黒豹と王子様がいます

「何言ってんだお前!」

 その時男が暴れた。

 持っていたカッターが俺の腕を切る。

 俺の血がぼたっと落ちた瞬間だった。

 初めて冷静さを失った徳永を見た。

 いつもへらへら笑ってるこいつ、こんな顔することがあるんだ。

 空手の試合の時でさえ、そんな顔見たことなかった。

 
 徳永が男を殴ろうとしたところを警察に見られているので、まあ、ただでは帰してくれなかった。

 怪我の治療中、徳永はずっと謝っていた。

 そして、この事を大事にしたくないと言った。

「別にいいよこんな怪我、たいしたことねえし」

 不安そうにしている笑わない徳永に、にかっと笑って見せた。

 俺って徳永に割と大事に思われてんだなと、ちょっとうれしかった。